©Keiko MORI/ Rwanda Development Board
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ゴリラはとても人気のある動物ですが、実はよく知られていません。
例えばこのドラミング。多くの方は、ゴリラはグーで胸を叩いていると思っているようですが、実はパーで叩いています。野生のゴリラが絶滅の崖っぷちにいることも本当のところはほとんど知られていません。
私たちはゴリラの魅力、われわれ人類の進化を研究する上にも、
なぜゴリラが必要なのか?なぜ失うのは惜しいのか?を伝えて行きます。
そして一番大切なこと、ゴリラを絶滅させないための具体的な支援をしていきます。
ヒガシゴリラ |
(1)マウンテンゴリラ:少なくとも1,000頭(2016年) (2)ヒガシローランドゴリラ:3,800頭(2016年) |
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ニシゴリラ |
(3)クロスリバーゴリラ:250-300頭 (2006年) (4)ニシローランドゴリラ:316,000頭(2018年) |
国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、全て「絶滅危惧 」と分類されており、比較的保護活動が成功しているマウンテンゴリラでも「危機 (Endangered, EN) 」とされ、他の3亜種は全て「深刻な危機 (Critically Endangered, CR) 」とされています。「深刻な危機(CR)」 次の段階は、野生の個体群が消滅した状態を示す「野生絶滅(Extinct in the Wild, EW)」です。まさに、崖っぷちに立っている状況です。
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ニシゴリラは、コンゴ、ガボン、カメルーン、赤道ギニア、中央アフリカ、ナイジェリアにかけて30万頭以上生息していると推定されていますが、その生息域では大規模な鉱業や林業の拡大によって森林伐採が進み、道路や線路網が拡大しており、生息地が急速に失われつつあります。また、人間との接触機会が増加したことにより、密猟の対象になったり、感染症にかかって命を落とすことも増えています。過去にコンゴ共和国ではエボラ出血熱で5,000頭以上のゴリラが短期間に死亡しました。今後も森林伐採が進み、さらに地球温暖化による影響で森林が失われていくことが予想されています。このままではニシゴリラは3世代(約66年間)の間に、生息数80%が消滅するとまで言われています。
ヒガシゴリラは、コンゴ民主共和国、ルワンダ、ウガンダに生息しています。コンゴ民主共和国、ルワンダ、ウガンダにはマウンテンゴリラが生息し、長年の保護活動による成果で生息数がわずかに増加傾向にあります。しかしコンゴ民主共和国では状況は深刻です。石油や天然ガスの採掘、鉱石採掘、木炭生産、農地拡大、道路網の拡大などのために森林が切り開かれています。多数の武装勢力が活動しているために治安が悪く、保護活動が効果的に行われていない地域もあります。コンゴ民主共和国のヒガシローランドゴリラはルワンダ内戦やコンゴ内戦の影響で密猟が急増し、1995年に16,900頭近くいたものが、2015年には3,800頭にまで激減し、20年間で実に77%が消滅してしまいました。
私たち人間は近年の生活スタイルの変化により、自然との距離が広がっているため、どれだけその恩恵を受けているのかを
意識することが少なくなっていますが、多様な生物で構成される生態系はとてつもない利益を私たちにもたらしています。
これは「生態系サービス」と呼ばれており、2001年から2005年にかけて国連が主導しておこなったミレニアム生態系評価の
報告書では、生態系サービスを以下の4つの機能に分類して、生物多様性の意義について紹介しています。
食料、燃料、木材、繊維、薬品、水など
人間の生活に重要な資源を供給している。
森林の存在が気候を緩和したり、
洪水を起きにくくしたり、
水を浄化したりするなど、
環境を制御している。
山や海に行くと気持ち良いなど、精神的な充足や
美的な楽しみや、レクリエーションの機会や宗教・
社会制度の基盤を与えている。
光合成による酸素の生成、土壌形成、栄養循環、
水循環など、上記サービスの基盤となっている。
これらの生態系サービスの経済的価値は、国際自然保護連合(IUCN)の試算によると年間33兆ドル(2017年)です。
世界全体の国内総生産の合計額は年間88兆ドル(2019年)なので、
実に世界の経済価値の38%は、豊かな自然環境から得られているわけです。
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しかし現在、1日に100種、1年間に4万種の野生生物が絶滅していると言われています。これは6500万年前に突如恐竜が絶滅した事態よりもはるかに早いスピードです。その原因のほとんどが、開発、乱獲、排水や廃棄物による環境汚染、外来種の持ち込みなどの人間による活動なのです。さらに地球温暖化によってサンゴの死滅や生物種の生息地北上など、世界規模で生態系に変化が起きています。
このままでは私たちが享受している生態系サービスも大きな影響を受け、これまで当たり前のように受けてきた様々な恩恵をうけられなくなる可能性がでてきます。
私たち人類が存続するためには、多種多様な生物たちと共存し、生物多様性を守っていくことが重要です。
遠いアフリカの密林に住むゴリラを守ることは、私たちの未来を守ることと密接に繋がっているのです。
ゴリラは現在、生息環境の劣化や縮小、密猟、伝染病といった脅威にさらされ、絶滅の危機に直面しています。NPO法人「ゴリラのはなうた」はこのゴリラの現状を広く一般市民の方々に報告しながら、ゴリラや森林 、そこにある生物多様性を守ることの重要性を訴えていきます。また、保護活動に尽力する各国政府や地域住民に対して人的・資金的支援を行い、ゴリラの研究や保護のための人材育成を行うことで、人間と自然が共存できる持続可能な地球環境を次世代に引き継いでいくことを目指しています。
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2021年度および2022年度の事業は、ルワンダ共和国の火山国立公園に生息するゴリラの保護に向けた活動を計画しています。
ゴリラが置かれている状況は、同じアフリカでも国や地域によって違いがあります。
この火山国立公園においては現在、森林伐採の脅威はありませんが、過去に広範囲の森林が切り開かれて農地に替えられてしまった歴史があります。近年、政府や保護団体による徹底した保護活動が功を奏し生息数が少しづつ増えていますが、生息域が小さいことでゴリラ集団同士の軋轢が多くなっています。ルワンダ政府は将来20年ほどかけて公園を拡張する計画を検討しており、その際には地域住民を段階的に移転することが必要になります。
また、2020年前半から世界中で猛威を振るっている新型コロナウィルス感染症は、人獣共通感染症であるため、ゴリラにも深刻な影響を及ぼす可能性があります。2021年1月に、アメリカ・カリフォルニア州のサンディエゴ動物園で、少なくとも2頭のゴリラが感染していることが分かりました。当団体は森林の警備や保護活動を後押ししながら、将来の拡張に伴う住民の移転を円滑にできるように、啓発活動およびゴリラのモニタリング体制の強化・支援、人獣共通感染症の感染予防に主眼を置いています。
トランシーバーは、国立公園のスタッフが原生林の中でゴリラの位置を確認し合うのに必要です。洪水などの危険が迫った時に助けを呼ぶのにも使われます。まさに彼らの生命線。
ところがこの数が少ないため、トランシーバーを持たずに森に入らざるを得ないという大変危険な事態が常態化しています。モニタリング用の高機能な機種を購入し、国立公園に
寄付します。
国立公園内のゴリラには1頭1頭名前がつけられています。
彼らの識別には 鼻の上に刻まれたシワ(鼻紋)が使われてます。
人間の指紋のように1頭1頭違うからです。
トラッカー全員がゴリラの顔や鼻紋を的確に撮影し記録できるようになることを目指します。カメラ、パソコン、プリンターを公園に寄付し、技能講習を行なっていきます。
国立公園に暮らす20組のゴリラグループのメンバーの(鼻紋のわかる)顔写真を並べたもので、公園のスタッフが各グループの構成を学び、個体を識別するために使われます。
また、ガイドが観光客に対してゴリラグループの説明をするときにも活用されています。グループの構成員は流動的で日々変わります。ファミリーカードは半年に1度のペースで更新していきます。
ゴリラは我々と同じ大型類人猿の一種。彼らにとって人獣共通感染症(Zoonosis)は、間違いなく脅威です。動物園のゴリラが新型コロナウイルスに感染した事例もあります。ビルンガ火山帯に生息するゴリラは650頭あまり。もしここに感染が広がれば、その影響は壊滅的です。人間からゴリラへの感染を予防するため、観光客や公園関係者らに、アルコール消毒を励行します。
火山国立公園では 、いまから20年かけて公園を拡張する計画が検討されています。この計画を円滑に進めるには、移転対象地域に暮らす住民たちの理解を得る必要があります。現在の村のリーダーたち、元密猟者たち、そして20年先の次世代を担う子どもたちにも楽しみながらゴリラや森林を守る意義を学べる啓蒙活動を行なっていきます。
森 啓子が、10年間ルワンダに暮らして撮影した野生のマウンテンゴリラの映像と写真を見せながら、ゴリラの群れの中で起きている様々なドラマを語り、ゲストと対談するトークショーを製作しています。このトークには英語字幕をつけ、YouTubeで世界に向けて配信し、より多くの人々にゴリラへの関心を持って頂けるように
します。
2011 | 森啓子が、ルワンダ共和国での撮影活動を始める。以後、現在に至るまでドキュメンタリー撮影と並行して、RDB(ルワンダ開発庁)、DFGFI(ダイアン・フォッシー国際ゴリラ基金)との協力関係を通じて映像作品・スチール写真の提供、ゴリラファミリーカードの制作などを行う。 |
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2020.01.29 | 森啓子が理事長となり、特定非営利活動法人の認証を取得。 |
2020.02.10 | 特定非営利活動法人ゴリラのはなうたを設立。 |
2020.09.13 | FM放送J-WAVE の「SARAYA ENJOY! NATURAL STYLE」に、森啓子が出演。 |
2020.12.24 | オランウータン研究者、久世濃子氏とのトークショーをYouTubeにて公開 |
ゴリラのはなうたの活動趣旨に賛同し、ご支援くださっている協賛企業の皆様です。
この活動にあたたかいご支援をして下さる皆様のご参加をお待ちしております。
資金面でゴリラのはなうたの活動を支えていただく会員です。
総会に議決権を持たない立場で参加することができます。
0円
(個人・団体)
1口 3,000円
(個人・団体)
(1口から受け付けています)
こちらの入会申込み用サイト(コングラント)にアクセスしてお申し込みください。
活動を支えてくださっている会員さまは【はなうた♬】のロゴをご使用いただけます。
ご希望あれば事務局にご相談ください。
1998年より野生動物のドキュメンタリー制作に携わる。2008年マウンテンゴリラに出会い、生活がガラリと変わった。2011年より単身アフリカ、ルワンダに移り住みゴリラの撮影を続ける。株式会社パグマーク代表。
TBS「新世界紀行」テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」NHK「地球!ふしぎ大自然」
テレビ朝日「ネイチァリングスペシャル 緑の森の三億年物語」WWFインド25周年記念映像祭グランプリ、地球環境映像祭 審査委員特別賞ほか・NHK「Orangutans;Our Cultural Cousins」International Wildlife Film Festival(米・モンタナ州) 自然番組奨励賞ほか
名 称 |
特定非営利活動法人ゴリラのはなうた 英文名:Humming of Gorillas |
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事務所 | 東京都世田谷区代田4丁目23-6 |
目 的 | 広く一般市民を対象に、絶滅に瀕するゴリラの現状を訴え、自然環境を地球規模で見た時にゴリラと彼らが生息する森の生物多様性を守ることがいかに重要かを普及・啓発する事業を行い、保護活動に尽力する各国政府や地域住民に、人的・資金的な支援を行い、ゴリラの研究やその保護のための人材育成を行うことで、人間と自然が共存できる持続可能な地球環境を次世代に引き継いでいくことを目的とする。 |
特定非営利 活動の種類 |
前条の目的を達成するため、次の種類の特定非営利活動を行う。 (1)社会教育の推進を図る活動 (2)環境の保全を図る活動 (3)国際協力の活動 (4)保健、医療又は福祉の増進を図る活動 (5)前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 |
事業の種類 |
特定非営利活動に係る事業として、次の事業を行う。 (1) ゴリラを通じて生物多様性の大切さや環境保全の重要性を国内外に伝える普及啓発事業 (2) ゴリラの保護活動に尽力する各国政府や地域住民等に対する人的及び経済的支援並びに教育事業 (3) ゴリラとその生息域の自然環境保全事業 (4) ゴリラの研究やその保全のための人材育成事業 (5) ゴリラと同じ祖先を持つ「人類」という種の起源と進化の謎の究明事業 (6) その他目的を達成するために必要な事業 |
役 員 |
理事長 森啓子 副理事長 更家悠介 理 事 PAULI GUNTER ARTHUR M 理 事 代島裕世 理 事 神田一雄 監 事 二條隆時 |